【要点】
- DXが進まない最大の要因は、新技術の不足ではなく日常業務に埋め込まれたExcel依存と属人化
- ERPやSFAを導入していても、最終的な経営レポートは手作業で再集計されているケースが多い。
- 現場が求めているのは「大規模刷新」ではなく、操作性を変えずに統制を強化できる仕組み。
- まずは予実管理など影響範囲の大きい業務から段階的に見直すことが現実的。
本調査は、プライム株式会社が独自にお客様721名に行った調査結果をまとめたものである。調査方法は、対面・オンラインインタビューを中心に実施。
詳細なレポートをご希望の方は、こちら
1.調査から見えたDX停滞の共通点
※詳細な調査対象属性は本サイトの下部をご覧ください
技術以前に「日々の集計」が回らない
AI活用や高度分析の構想はあるものの、現場では月次・週次の集計作業に追われているという声が目立ちました。各部門が独自に管理しているExcelファイルを回収し、整形し、突合し、差異を確認する。その過程でマクロ修正や数式の見直しが発生し、担当者の経験に依存した運用が続いています。
特に多かったのは、次の二つの課題です。
- 集計工数の増大
- ロジックの属人化への不安
「担当者が異動したら誰も触れないファイルが残る」「最新版がどれか分からない」といった声は、特定の企業に限った話ではありませんでした。技術的な高度化以前に、日常業務の維持そのものが負担になっているのが実情です。
システムと現場の分断
下図をご覧ください。
このプロセスにより、経営速報値の確定まで8営業日かかっているという例もありました。
システムは存在しているものの、意思決定に直結する形で活用できていないケースが散見されます。
※関連記事:脱Excelが失敗する3つの理由|Excel管理の限界とZoho Creatorによる解決策
1
CSV出力
2
手作業の加工
3
マクロ処理
4
再確認
2.規模・業種別に見る課題の傾向
大企業:グループ経営管理の複雑化
基幹システムを導入済みであっても、子会社や海外拠点ごとにフォーマットや会計ルールが異なるため、本社側で再統合する負荷が大きいという課題が挙げられました。
会計ソフトが拠点ごとに異なる
提出フォーマットが統一されていない
HQでのデータ整形・クレンジングに時間を要する
結果として、「速報値を8営業日から3営業日に短縮したい」という具体的な改善目標が現場から上がっています。データは集まっているが、統合されていない。ここに大企業特有の難しさがあります。
製造業:原価と工数の分断
製造業では、見積データと実績データの分断が顕著です。理想はリアルタイムな原価管理ですが、実際には営業部門の見積Excelと、工場側の実績データが別管理になっているケースが多く見られました。
製品別原価が即座に算出できない
工数実績と見積ロジックが連動していない
在庫・購買データと会計データが分断されている
その結果、月次でまとめて突合する運用になり、改善アクションが後手に回ります。現場が求めているのは、高度な分析よりも、まず「正確でタイムリーな基礎データ」です。
お客様の声(課題)
「エクセル上で数値計算を行っており手間」「営業と製造の数値が合わない」と、部門間のデータ連携に課題が発生する
福井県 / 300-1000人未満 / 製造・機械
「子会社ごとに原価配下率が異なり、ロジックを再現できない」といった、高機能システムと現場業務のギャップに直面
神奈川県 / 1000名以上 / 製造・機械
製造部などの部門において「Excel依存・属人化」が課題となっており、予算管理の見直しを進めている
東京都 / 1000名以上 / 製造・機械
「部門ごとから上がってくるデータをまとめたりなどが煩雑」であり、集計・報告業務の属人化に悩んでいる
秋田県 / 100名以下/ 卸売など
「SFAのデータ入力が煩雑で困難」という不満から、Excel依存や属人化、資料作成の遅れが生じている
東京都 / 1000名以上 / サービス
営業本部室や現場でのシステムやデータ活用に課題。大規模な需要データの統合管理が求められている
富山県 / 1000名以上 / 電気・ガス・水道
3.なぜ高額ツールを導入しても定着しないのか
BIツールやERPを導入しても、運用が定着しないという声は少なくありません。その背景には、ツールそのものよりも運用設計の問題があります。
計算ロジックが複雑すぎる
現場で保守できない
作成者しか修正できない設計
長年蓄積されたExcelロジックを、そのままBIツールで再現しようとすると、設計が過度に複雑化します。結果として、変更や修正のたびに外部ベンダーに依頼する必要が生じ、現場の柔軟性が失われます。
最終的には「結局Excelのほうが早い」という判断になり、元の運用に戻る。この繰り返しが、DX疲れを生んでいます。
4. 現場が求めているもの
多くの企業が求めているのは、抜本的な全社刷新ではありません。
必要とされているのは次の2点を両立させることです。
使い慣れた操作感
組織としての統制
Excelの柔軟性は維持しながら、裏側ではデータベースで一元管理する。
高度な専門知識がなくても運用できる仕組みが望まれています。
重要なのは「操作を変えないこと」ではなく、「管理構造を変えること」です。
5.DXは“集計業務の見直し”から始める
AI導入や全社刷新を目標に掲げる前に、まずは日常業務の改善から着手するほうが現実的です。
推奨される3ステップ
標準化
個人管理のExcelを組織管理のデータ基盤へ移行し、マクロ依存を解消する。
迅速化
データ収集と集計を自動化し、レポート作成期間を短縮する。
段階展開
予算管理や予実管理など、影響範囲が大きく効果を測定しやすい領域から始める。
小さな成功事例を積み重ねるほうが、結果的に全社展開は早く進みます。
※関連記事:【完全ガイド】Zoho Creatorとは?できること・使い方・料金を徹底解説
現場業務の可視化から内製化まで伴走支援します
弊社(プライム株式会社)は、「現場業務の可視化・整理」から伴奏し、お客様の業務課題(As-Is)とあるべき姿(To-Be)を明確にした上で、最適なアプリ設計・構築をご支援します。
【支援範囲】
業務ヒアリング/現状課題の整理
簡易プロトタイプ(モックアップ)作成
本番アプリ構築・データ移行
導入後の定着・内製化のサポート
「システムを作って終わり」ではなく、導入後にお客様自身でシステムを運用・改善(内製化)できるようになるまで、サポートいたします。
「自社の業務は特殊だから……」と諦める前に、まずは御社の「1つのExcel業務」を題材に、どれだけ簡単にアプリ化できるか試してみませんか? 現状の課題や、システム化したい業務について、ぜひお気軽にご相談ください。
6.まとめ
DXが進まない理由は、必ずしも技術不足ではありません。
多くの企業では、日常業務に埋め込まれたExcel依存が構造的なボトルネックになっています。
重要なのは、現場の使いやすさを保ちながら、データの統制を強化すること。
派手な施策よりも、集計業務の近代化という地道な改善が、結果として経営のスピードを変えていきます。
【調査内容】
プライム株式会社にてつながりのある顧客に対し、アンケートを実施(721名)属性は次の通りです。
企業規模
- 大企業(1,000名以上):約40%
- 中堅・中小(20~1,000人):約60%
業種別構成
- 製造/機械:約30%
- IT、広告、マスコミ:約20%
- 卸・小売:約15%
- 建設・不動産:約10%
- サービス:約10%
- その他:5%
役職権限
- 導入権限はないが、選定に関与している:70%
- 導入権限あり:30%